張煒《九月の寓話》坂井洋史訳,彩流社,2007年1月,487ページ,¥ 3,675 (税込),ISBN-13: 978-4779112355
『枕草紙』には橋本治訳「桃尻娘」語がよく似合うように,張煒作品の山東土語には「・・・ずら」方言がよく似合う。「あの頃,わしゃもうちょいとで飢え死にだったのん。で,おめさんとこまで這って行ったずら。おめえは丸石搗いて砕いて,わしの口につめたずら。そりゃ腹はくちくなったが,わしゃ地べた転げ回ったぞね。・・・まっこと世の中,カラスはどこでもまっ黒だで・・・・」訳者苦心の訳文は,不可思議なクレオール東国・東北弁。まことに文学=文体にして,言文一致の無何有郷!!(村田雄二郎)