北京偶聞三則。
(1)08年オリンピック会場予定地に隣接する中古団地で,ベランダに掲げられた「日照を返せ」の大きな垂れ幕。日本でよく見かける高層マンション建設反対の住民運動とうり二つでした。
(2)西安から北京まで,はるばる自転車行脚してきた30代のインテリ男性。農村の義務教育普及を訴える黄色いカッパを着て,連日中関村の高楼大廈の前に立ち,辻説法と募金の毎日でした。
(3)某所で通行人に配付されていた胡錦濤総書記宛の手紙の写し。内容は河北省某市の炭鉱事故を隠蔽するため,坑内労働者を生き埋めにした悪代官の非を天下に訴え,貪官汚吏の組織犯罪を暴かんとするもの。記述は具体的かつ詳細で,リアルな官場現形記となっています。
環境保護+義務教育普及+汚職腐敗一掃=現代中国が抱える三大問題?
昔はありえなかった人々のこうした活動に,人民の権利意識の高揚を感じ,現代中国がその地底において大きく変わりつつあることを認識しました。歴史研究もまた,この黄河の流れの如き非可逆的趨勢に賦活されねばならぬでしょう。