毛里和子著『日中関係──戦後から新時代へ』
岩波新書,2006年6月20日刊,232頁,740円+税,ISBN4-00-431021-0
読後感:日本でも,そして中国でも「戦後」=「戦後処理」はまだ終わっていないこと,それどころか,まだ始まったばかりであること。やっかいなのは,この「戦後」の上に,「突然」のようにグローバル化と中国の経済躍進の波が覆い被さったため,国家間の関係が複雑骨折していことだ。したがって,本来これを調整すべき政治と外交が,理論的にも実践的にも準備不足であるのは明白。裏返せば,未曾有の知的チャレンジに日本も中国も直面していると言うことだろう。既存の枠組みや方法で解決を図るのではなく,ゲームのルールを更新しながら,ゲームを組み立てていななければならない困難さを改めて思う。(村田雄二郎)