21世紀中国総研 http://www.21ccs.jp/index.html
蒼蒼社代表取締役兼21世紀中国総研事務局長の中村公省さんから,同社刊『中国情報源』の「日本のチャイナ・ウォッチャー」欄への個人データ掲載依頼が来た。依頼はこれが二回目で,前回は「自分はチャイナ・ウォッチャーと名のる資格がない」とお断りしたのだが,今回はちょっと思うところがあって,承諾した。
このDBは21世紀中国総研のHPにも掲載されるということなので,さっそく立ち寄ってみたところ,一読三嘆。これがすばらしく充実したサイトで,現代中国に関心を持つものなら必見であること疑いなし。
たとえば,表頁中央には「中国GDP修正」とあって,1993-2004年の歴年GDP修正値がグラフとともに示されている。2005年の速報値もあり,鮮度がいい。改革・開放期の経済成長の流れが,この信頼すべきデータによって一目瞭然になるだろう。経済の素人には,すぐに役立つ(授業で使える!)こうしたグラフは大変ありがたいし,ネット上にあるので便利この上ない(もちろん著作権は尊重します!)。
また,中村社主による「世代別・男女別中国嫌いデータ」も出色の作品で,分析も鋭い。なかでも「10年の長期的視点では,若年層はむしろ男女とも中国好きが増加して,中国嫌いが減少している」との指摘が,私には目から鱗であった。最後に曰く,「かつて,中国に親近感を示したのは高齢者層で,中国に親しみを感じない若年層の存在が注目されたものだが,いまや事態は決定的に逆転している。」日中関係の現在を考える上で,きわめて重要な分析の糸口ではないだろうか。
横澤泰夫熊本学園大学教授による「中国出版界の自主規制~『往事並不如煙』と『最後的貴族』による検証~」も読みごたえがあった。反右派闘争のタブーが生々しく伝わってくる。さっそく書肆に『往事並不如煙』を注文した次第。
実は,紙版の『蒼蒼』が出ていたとき,敬愛する矢吹晋先生(むかし駒場で中国語を教わったので「先生」である)の辛口批評を毎号ひそかに愛読していたのだが,ネット版でも先生の気焰がいささかも減じていないことを改めて確認したのが「『マオ-誰も知らなかった毛沢東』を評す」。やっぱり,この本買わなくてよかった。原著者には,その人生経歴から,こうした毛批判の本を書く理由も必然もあるのだろうから,本書をけなすわけではない。問題は日本での受けとめ方だ。読書界の一部がこうした俗書を持ち上げるのは,日本人の中国観の「先祖帰り」みたいなもので,本当にいやな気分になる。・・・などといえば,責任の矛先は,こちらにも。上に「ちょっと思うところがあって・・・」と述べた所以です。(村田雄二郎)