村田雄二郎『現代中国という問い──辛亥革命から「中国の夢」まで』
晃洋書房,2025年11月20日刊,422頁,定価7040円(税込み),ISBN:9784771039919
内容紹介
既成秩序に「乱」をもって対抗し、人民を「王者仁政」の桎梏から解放したはずの中国。文化大革命を「天下大乱」と否定する一方で、こと政治秩序に関しては「王者仁政の治」への先祖帰りすら感じさせるなど、乱反射のごとき相貌を見せる中国。長期的視野から現代中国の位置を問い直すとともに、巨大で複雑なこの国家を観察するための視点を提示する。
目次
第Ⅰ部 一強体制のなかの権力第一章 習近平時代の中国政治──民主・集権・官僚制 はじめに 一 民 主──民意政治 二 集 権──治と乱 三 官 僚 制──党の電線 おわりに第二章 新型コロナウィルスと中国 一 感染制圧と「社区」 二 「単位」から「社区」へ 三 二冊の日記から 四 電線と党第三章 一強体制を哲学する──カフカと魯迅 一 治安管理処罰法改正案 二 カフカの「門」──不可視の権力 三 卵チャーハンの作り方 四 鉄の檻と掟の門──阿Qの最期第四章 一九四九年の選択──知識人と中国革命 一 去留の選択 二 期待と悔悟──思想改造 三 繰り返される知識人批判 四 伝統文化の離散─香港・台湾の新儒家 第Ⅱ部 辛亥革命の内と外第五章 辛亥革命の歴史的位置──中国史の「北」と「南」 一 中華世界と清朝 二 民族と国家 三 中国史の中の「北」と「南」第六章 岡倉天心の中国南北異同論 一 近代日本の中国認識 二 岡倉天心の中国旅行と中国認識 三 「支那南北ノ区別」論 四 南北区分論の歴史的位置づけ第七章 韓国併合と辛亥革命──張謇をてがかりに はじめに 一 張謇と国会開設請願 二 大隈「韓国統監」説 三 中国から見た韓国併合 おわりに第八章 清室優待条件から見た中華民国初期の憲政体制 はじめに 一 南北講和と「清室優待条件」 二 「清室優待条件」をめぐる攻防 三 民国成立後の「清室優待条件」 四 北京政変と「清室優待条件」論争 おわりに 第Ⅲ部 伝統のなかの革命第九章 アジアからの問題提起──中国医学をめぐって 一 SARSと中国医学 二 中国医学の近代 三 科学の知と中国医学 四 伝統知・地域知への傾斜 五 近代への適応と地域の学知第一〇章 中国マルクス主義と伝統文化──政統・親統・道統 一 「君」にして「師」たる毛沢東 二 皇帝としての毛沢東──尊尊(政統) 三 家父長としての毛沢東──親親(親統) 四 教師としての毛沢東──賢賢(道統) 五 血縁原理による社会結合第一一章 康有為の大同世界 はじめに 一 康有為と『大同書』 二 宗族と大同 三 ディストピアとしての大同 四 自由と統制 おわりに 第Ⅳ部 ロシア、アメリカ、そしてアジア第一二章 非対称な隣国──近代中国とロシア 一 中露関係の非対称性 二 オロス館と北京伝道団 三 ジュンガル問題と中露関係 四 近代の中露関係 五 露清密約と李鴻章第一三章 近現代中国における「反米」と「親米」──対立と競存の構造 一 希薄な反米主義 二 「反米」と「親米」 三 中米関係百余年─四つの時期区分 四 現代中国のナショナリズムと反米・反日 おわりに第一四章 孫文以後の大アジア主義 はじめに 一 山東出兵までの日本論 二 満洲事変前後の日本論 三 抗日と大アジア主義 四 新民主義から大アジア主義へ おわりに第一五章 強兵なき富国?──近現代東アジアにおける四つの「戦後」 はじめに 一 日清戦争──民主化と軍事化 二 日露戦争──立憲主義と帝国主義 三 第一次世界大戦──軍拡なき民主化 おわりに