日 時 10月5日(土)13:00~17:00
会 場 東洋文庫7階会議室(対面)+ Zoom(オンライン)
参加費 無料(中国研究所所員・研究会員以外の方も無料で参加いただけます)
参加をご希望の方はこちらのGoogleフォームからお申し込みください。
※申込み締切は、前日の10月4日(金)正午まで
◇報告1(13:00~14:45)
報告者 史 雨(神戸大学大学院)
論 題 張資平による池田小菊の翻案──『帰る日』から『飛絮』へ
コメンテーター 城山 拓也(東北学院大学)
【報告要旨】
新文学団体「創造社」の主要メンバーの一人である張資平(1893〜1959)は、日本留学から帰国した後、次第に大衆的な恋愛小説に創作の中心を移した。長編小説『飛絮』(『風に飛び交う柳の絮』1926)の成功が、彼が通俗小説家の道を歩む契機となったと言われる。『飛絮』は池田小菊『帰る日』(1925)の翻案であることは先行研究が指摘しているが、『帰る日』の影響から脱した独自の成就があったことについてはまだ詳しく検証されていない。報告者は具体的なテキストをあげて両作品を比較した上で、『飛絮』の独自性を考察する。さらに、両作品をそれぞれの社会的背景と結びつけつつ、改作された『飛絮』が原作以上の人気を博した理由について分析する。
◇報告2(15:00~16:45)
報告者 古谷 創(明治大学大学院)
論 題 『清議報』日本語雑誌翻訳記事における国家意識の生成―国名の自称の選択を事例として
コメンテーター 沈 国威(浙江工商大学)※オンライン参加
【報告要旨】
『清議報』(1898~1901)は、中国人に国家意識を持つことを呼びかけた、横浜で刊行された中国語雑誌である。その活動の一環として、日本語文献の翻訳を盛んに行っていた。本報告では、同誌の翻訳記事(中国語)と出典の日本語記事を対照し、自国の呼称の選択という問題を検討する。国名を表す「中国」「支那」「清国」の出現数を比較したところ、原文では最も少ない「中国」が、訳文では顕著に増えていた。その理由について、①『清議報』内部の事情、②出典の日本語記事の「支那」観、③『清議報』と清朝との関係の3つを軸に述べる。同誌の日本語雑誌記事は、オリジナルの論説に劣らず、中国人が国家意識を持つ上で重要な経路になったと言える。
司会 吉川次郎(中国研究所、中京大学)
お問い合わせ先
一般社団法人中国研究所事務局
E-mail c-soumu●tcn-catv.ne.jp(●は@に換えてください)