田雁『近代中国の日本書翻訳出版史』小野寺史郎・古谷創 訳,中村元哉 解説,東京大学出版会,2020年12月刊,464頁,ISBN978-4-13-026275-0,税込7,920円。
内容紹介日本文化交流史の一面を形成する「中国語に翻訳された日本語書籍」の歴史を19世紀の後半から現在まで射程に入れ一つの通史として描き切った労作.田雁著『日本図書漢訳出版史』(南京大学出版社,2017年)を翻訳.
主要目次
序 章
1 先行研究の整理
2 本書の概要
第1章 日本書翻訳事業の勃興――1719年~1911年
1 日本観の変化
2 清末の改革と中国語訳日本書
3 東京から上海へ――翻訳の中心地の移動
4 独壇場の時代
おわりに
第2章 戦争の影の下の日本書翻訳――1912年~1949年
1 日本観の変化
2 民国期の中国語訳日本書
3 出版社群像
4 訳品をめぐる論争
5 新文化・新思想・戦争準備
6 中国語訳日本書に対する戦争の影響
おわりに
第3章 テキストと訳者の選別――1949年~1976年
1 日本に無関心な時代
2 「17年」と「文革」期の中国語訳日本書
3 内部発行・「皮書」・秘密翻訳
4 名前を出せない訳者たち
おわりに
第4章 転換期の好機と挫折――1977年~1999年
1 改革開放初期の日中蜜月期
2 市場化と国際化
3 中国語訳日本書の勢力図の変遷と社会的要因
4 映画,テレビと日本書の翻訳
5 ベストセラー不在の中国語訳日本書
おわりに
第5章 翻訳出版における新要素――2000年~2011年
1 「氷点下」の日中関係
2 分野別勢力図における新要素
3 内容第一――ベストセラーを呼び込め
4 中国語訳日本書の現在
おわりに
終 章 中国語訳日本書の社会的影響と意義
1 日本書翻訳出版事業の始まりと高まり
2 中国語訳日本書の時代ごとの特色
3 訳者・出版社・著者の役割の変遷
おわりに
解説(中村元哉)
訳者からの補足(小野寺史郎)