日 時:2015年1月31日(土) 16:00-17:30
場 所:東京大学本郷キャンパス(法文1号館1階115番教室)
報告者:小野寺 史郎(埼玉大学教養学部准教授)
題 目:清末民初のミリタリズムとその課題
コメント:吉澤 誠一郎(東京大学)
梗 概:清末に「尚武」や「軍国民主義」といった思潮が中国知識人の間で一種のブームとなったことについては、早くから指摘がなされてきた。特に近年はこれらの潮流について、体育教育の普及やその近代的な「男性性」構築との関係という視点から分析する研究が増えている。ただ、梁啓超や蔡鍔などの文章の中では、実際に身体を鍛えることと並んで、より広い「武を尚ぶ」文化や習慣、価値観を中国社会に作り上げるということが強調されている。本報告は、近年の先行研究を参照しつつ、これらの議論の内容を再検討することで、近代中国の「尚武」や「軍国民主義」が当初から、個人主義的な英雄と規律ある軍隊の一員、暴力の行使と自己抑制、野蛮と文明、といった一連の分裂を含みこんでいたこと、それが当時の時代状況や社会情勢と合わせて、清政府・民国政府が実際に軍国民教育を政策として導入する際に一つの桎梏となった可能性について論じる。
司 会:村田雄二郎(東京大学)
主 催:中国社会文化学会
共 催:科研費基盤(B)「社会主義中国の憲政論・憲政体制を再考する──20世紀中国憲政史の視角から」(代表:中村元哉)
参加費(資料代):500円