一国史を超えよ、という声が聞かれるようになって、久しい。
だが、言うは易く、行うは難し。
ならば、相乗り、助け合いの協同作業がある。
というわけで、日本史と朝鮮史、中国史の研究者が会して、
近代東アジアの知識人列伝を編んだ。本書では、東アジアとは何か、
知識人とは何か、という「そもそも」論はあまりしていない。
かわりに、思想や制度がじっさいに動いていく「場」として、東アジア
を設定した。だから、ベトナム人もモンゴル人もチベット人も、さらには
アメリカ人もカナダ人も「東アジア」の知識人に列せられている。
また、さまざまな知の創造・伝達に関わる人たちを、広く知識人と捉えた。
だから、反日義兵、小学教師から演歌師、宗教家など、はなはだ「知識人」
らしからぬ人々にも伝が立てられている。
読者には、国の枠をいったん解きほどいて、リシャッフルした近代東アジア
「列伝」の世界を自在に読み解いていただきたい。
(ASNETメールマガジン No.467 2013/11/22掲載 「自著を語る」No.16より)