新刊紹介
久保亨『戦間期中国の綿業と企業経営』
汲古書院,2005年5月5日刊,320ページ,4500円+税。
『戦期間中国<自立への模索>』(1999年)に次ぐ著者2冊目の論文集。前著が関税政策を中心とする民国政府のマクロ経済を対象としていたのに対して,本書は企業経営(綿業)から見た同時期の中国の社会経済問題を扱う。
終章で提示される論点は,
1,戦間期中国における近代的中国企業の発展。
2,地帯構造論,すなわち沿海部と内陸部の企業経営に見られる差異。
3,企業経営における変と不変。
4,企業経営者の世代と出身。
資料をふまえた堅実な論証とバランスのとれた分析に,前著と同様,著者の本領が存分に示される。(村田雄二郎)