2012年7月8日(日)
シンポジウム 東アジア古典教育のゆくえ
午前の部 10:00~12:15
日韓の漢字・漢文教育 金 文京(京都大学)
古典学の位置――東京大学古典講習科を起点として 齋藤 希史(東京大学)
ディスカッサント: 川原 秀城(東京大学)
司会: 岸本 美緒(お茶の水女子大学)
午後の部 パネルディスカッション 13:30~17:00
現代ベトナムにおける「漢字・漢文」教育の定位 岩月 純一(東京大学)
韓国のハングル古典教育 南 潤珍(東京外国語大学)
古典教育に対する研究の功罪 藤原 克己(東京大学)
二松学舎大学における日本漢文研究の取り組み 町 泉寿郎(二松学舎大学)
司会: 村田 雄二郎(東京大学)
会場:東京大学文学部1番・2番大教室(法文2号館2階)
主催:中国社会文化学会
参加費(資料代)1000円 非会員の来聴歓迎
企画の趣旨
古代漢語の読解力を基礎とする古典文献の研究・教育は、前近代以来の伝統の上にたち、東アジア諸地域の文系学問のなかで、独自の地位を占めてきた。しかし、近年の人文学をめぐる環境の変化とともに、その地位は急速にゆらいでいる。本シンポジウムでは、東アジア古典文献の研究・教育が東アジア諸地域の精神史及び文化交流に果たしてきた役割を改めて振り返るとともに、現在の東アジア諸地域の古典教育が直面している諸問題を検討しつつ、古典教育の新たな方向性をさぐってみたい。午前のセッションでは、金文京氏・齋藤希史氏に、歴史的背景もふまえて大局的な視角からの報告をお願いし、午後のパネルディスカッションでは、岩月純一氏、南潤珍氏、藤原克己氏、町泉寿郎氏に、ベトナム・韓国・日本における古典教育の現状・問題点を中心に、実践的な見地も加味して問題提起・討論を行っていただく。
本シンポジウムの題名にいう「東アジア古典教育」とは、必ずしも中国の古典漢文の伝統的な教育に限られるものではなく、中国以外の東アジア諸地域で作成されてきた漢文・非漢文の古典文献、及び近現代の東アジアの古典教育にも大きな影響を与えてきたヨーロッパの東洋学の方法、なども含めたものである。古典教育における中国文献と自国文献とのバランス、伝統的方法と近代的方法との関係などは、それぞれの地域における文化的自意識の問題とも密接にかかわり、人文学一般の在り方に及ぶ広い射程をもつ。諸地域の経験をふまえつつ、東アジア古典教育のあらたな方向性を展望することができれば幸いである。