東洋文庫超域アジア部門現代中国研究班国際関係・文化グループ
2012年度第2回研究会のお知らせ
日 時:2012年7月14日(土)15時から17時
場 所:財団法人東洋文庫 7階 会議室(1)
報告者:関 智英 氏(千葉商科大学非常勤講師)
論 題:中国人対日協力者の戦後
概 要:戦時中日本に協力した中国人は、戦後社会をどのように生き抜いたのか。本報告では、戦時期の中国人対日協力者のうち、戦後日本に亡命した人々について検討する。戦時中、日本の中国占領地に樹立された各種政権(汪政権等)に関わった中国人については、戦後「漢奸」として裁きを受けた人があったことは、益井康一の著作や劉傑の研究などにより明らかにされてきた。漢奸裁判の記録の一部も公刊されている。しかし、一方でこうした裁判を受けることなく、また裁判を受けながらも服役後大陸を離れ、香港や日本、さらにアメリカ・カナダに亡命した人々があった。彼等についてはこれまでその具体的な活動についてはほとんど知られてこなかった。ただ日本について言えば、1950年から60年代にかけ、こうした中国人亡命者が90人前後いたことがわかっており、外務省も彼らへの対応を迫られていた側面もあったのである。
本報告では、外務省外交史料館に残された史料から、まず1950年代から60年代にかけて外務省がこうした亡命中国人に対してどのような対応を取ったのかを確認し、そこからこれまであまり意識されることのなかった、戦時中の対日協力者と戦後日本社会のかかわりを考える手がかりを得たい。
連絡先:村田雄二郎(murata[@]ask.c.u-tokyo.ac.jp)