汪暉著,石井剛訳『近代中国思想の生成』
岩波書店,2011年4月26日,448頁,定価:8,820円(本体 8,400円 + 税5%),iSBN:978-4-00-022586-1 C0022
訳儒学的帝国観を保持しつつ近代中国は国家としていかに興起したか.科学的言説を媒介として,天理的世界観から公理的世界観へ,時勢的歴史観から進化論的歴史観へと変容を遂げ,ナショナル・アイデンティティを獲得していく系譜を探求する.唐宋から清末民国まで,中国の思想的磁場における初期近代性のありかを探り当てた大作.
訳者を得て輝きを増すとは本書のことか。訳者解説は汪暉論としても出色のできばえだと思う。駒場の国際学縁此処に在らん。(村田雄二郎)