『新編原典中国近代思想史 第6巻 救国と民主──抗日戦争から第二次世界大戦へ』責任編集:野村浩一,近藤邦康,砂山幸雄,編集協力:深町英夫,中村元哉,岩波書店,440頁,5,985円(本体 5,700円 + 税5%),2011年3月29日,ISBN978-4-00-028226-0 C3322
抗日戦争は,日本の対米英戦争開始によって世界戦争の一環に組み入れられた.それは国民党・共産党の政策や路線にも影響を及ぼした.抗戦の長期化とともに両党間の緊張が高まるなか,中国が近代以来直面してきた文化や社会の再編・創造および国家統合という課題に対して,それぞれ新たな戦後構想が提示される.
目次
一 全国抗戦と戦時体制構築
中国共産党「抗日救国十大綱領」
蒋介石「わが軍の南京撤退について国民に告げる書」
中国国民党「臨時全国代表大会宣言(抄)」
中国国民党「抗戦建国綱領」
毛沢東「持久戦論(抄)」
蒋介石「国民参政会の任務」
鄒韜奮「図書雑誌原稿検閲規則を撤廃して、輿論を十分反映し,出版の自由を保障することを要請する提案」
鄧穎超「現段階の婦女運動に対する意見」
二 持久戦下の国家建設
蒋介石「第一次南嶽軍事会議開会訓示(抄)」
蒋介石「敵国の陰謀をあばき、抗戦の国策を明らかにする(抄)」
汪精衛「艶電」
国民参政会「国民大会を招集し, 憲政を実行する案」
蒋介石「三民主義の体系とその実行の順序」
毛沢東「新民主主義論(抄)」
蒋介石「外交に対する指示」
中国民主政団同盟「中国民主政団同盟成立宣言」
三 第二次世界大戦の中の抗日戦争──戦後構想へ向けて
陳果夫「戦後中国の責任(抄)」
蒋介石「中国の命運(抄)」
張志譲「中国の憲政運動と世界の民主潮流」
張君勱「二つの時代の人権運動の概論」
梁漱溟「中国が憲政に至る道(抄)」
羅隆基「政治的民主と経済的民主」
馬寅初「中国の工業化と民主は不可分である(抄)」
馬星野「世界が報道の自由へと至る道(抄)」
孫科「どのように民主を促進するのか」
中国国民党「中国国民党第六回大会宣言」
四 共産党統治地区の思想・運動・展望
毛沢東「学風・党風・文風を正そう(抄)」
付録:康生「過ちを犯した者を緊急に救え(抄)」,蒋南翔「「搶救」運動に関する意見書(抄)」
丁玲「国際婦人デーに思う」
王実味「山百合の花」
毛沢東「延安の文芸座談会での発言(抄)」
毛沢東「指導方法の若干の問題について(抄)」
毛沢東「第七回代表大会開幕の辞」
毛沢東「連合政府論(抄)」
劉少奇「党規約の修正に関する報告(抄)」
五 国民政府統治地区の文化と社会
I 科学と民主
朱家驊「科学世界と建国の前途(抄)」
陳独秀「西流への書簡」
楊兆龍「憲政の道」
Ⅱ 中国アイデンティティを求めて
顧頡剛「中華民族は一つである(抄)」
林同済「民族主義と二十世紀(抄)」
馮友蘭「新理学 緒言(抄)」
熊十力『読経示要(抄)』
陳序経「抗戦時期の西化問題」
Ⅲ 女性と戦争
劉英「『破鞋』問題について」
劉蘅静「誰が家庭教育の責任を負うのか」
陳盛清「戦後の婚姻問題(抄)」