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【開催趣旨】
今年は、韓国併合から100年目にあたる。日本による支配が終結してからもすでに60年以上が経過したが、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間では植民地支配に関わる政治的な解決さえ果たされていないだけでなく、大韓民国との関係においても歴史認識をめぐる軋轢が絶えない状況が続いている。こうした状況を生み出しているもっとも大きな要因は、日本国内において近代以降の日本の歴史に関する社会的合意がなされていないことにあるのではないだろうか?
国立歴史民俗博物館では、今年3月に第6展示室(現代)をオープンした。そのなかの重要なテーマの一つが韓国併合と植民地の問題である。韓国併合が合法的なものであった否かを含めた、併合過程そのものについての歴史的評価、あるいはその前提にある日本と韓国の「近代」のありかたについての考え方をめぐって研究者の間でも議論が分かれている。わたしたちは、展示した「もの資料」をめぐる新たな議論が喚起されることを期待し、開館以来、長年の懸案であった第6展示室(現代)を開室したが、事実に基づいた真摯な学術的議論を組織することで、歴史認識を異にする人々の間での交流をより豊かなものにしたいと考えている。
そこで、韓国から招いた研究者を含め、国内のさまざまな分野の研究・教育者とともに、記念講演と4つのセッションからなるこの国際シンポジウムを開催することにしたのである。研究者だけでなく、この問題に関心を持つ多くの市民の方の参加を得て、活発な議論が展開することを期待している。