近刊予告『新編 原典中国近代思想史 第2巻万国公法の時代――洋務・変法運動』
■体裁=A5判・上製・カバー・350頁 ■定価 5,250円(本体 5,000円 + 税5%) ■2010年4月27日刊 ■ISBN978-4-00-028222-2 C3322
王朝体制が動揺する19世紀後半,近代西洋との接触を機に発動された各種改革の関連原典を扱う.万国公法という新たな国際秩序との対峙は,受容・模倣・反発・抵抗といった様々な反応を巻き起こした.西洋化に先んじた日本との関係は琉球や朝鮮をめぐって再編され,日清戦争での敗北は戊戌変法運動へとつながっていく.
(解説より)
真に問われるべきは、「西洋の衝撃」の具体的内容・性格であり、それに対する「伝統中国」の反発や模倣、選択的受容の諸相であり、中国から西洋に与えた反作用(「アジアの衝撃」?)の内実であろう。また、地域・階級・性差・民族の違いによる「反応」のあり方も、決して一枚岩ではない。そもそも、中国との接点をもった「西洋」は、どの程度まで均質であったのか。ロシアや日本は「西洋」と異なるどのような「衝撃」を中国に与えたのか。キリスト教宣教師が中国の農村社会にもたらした「西洋経験」と、一八七〇年代以降外交官として欧米社会に滞在した中国の文人官僚の「西洋経験」は同列に論じられるものなのか。そうした一連の問いこそ、「西洋の衝撃」を論じる際に問われてしかるべきである。