丸山真男著『日本的思想』,区建英・劉岳兵訳,生活・読書・新知三聯書店,2009年5月刊,136頁,19.80元,ISBN:978-7-108-03149-5。
三聯書店の海外学術名著翻訳シリーズ「学術前沿」の一冊。日本関係では,すでに竹内好『近代の超克』,柄谷行人『近代日本文学の起源』が刊行されている。今回出た『日本の思想』中文版は,平石直昭先生の懇切な解説を兼ねた序文と付録に丸山が福沢を論じた関連論文三本を収めているので,これはこれで一つの新しいテクストになるであろう。訳文については,訳者と平石先生が何度もやりとりして推敲を重ね,数度稿を改めたというから,品質は保証済みか。固有名など多くの訳注も中国語読書界には親切。有名な「たこつぼ型」だとか「ささら型」だとかどういう風に訳したのだろう。さっそく頁をめくってみる。また,中国の知識人が「無限責任」と「無責任の体系」の議論などをおのれの歴史経験に引きつけてどのように読むか,楽しみなところである。中国における思想的日本論の今後の展開に期待したい。(村田雄二郎)