“文字にしるす”とは、古来、文字社会であるならば、どこでも普遍的にみられる
現象です。しかし歴史学的観点に立つなら、“writing”といっても、“記録に留
める”と“文書に残す”では、いささか意味がことなります。前者は、なんらかの
体験した事実と記憶を保存することであり、後者は社会的契約事項を書く、といっ
たニュアンスがおおきいといえましょう。共同研究プロジェクト「東アジアの社会
変容と国際環境」研究会では、清朝統治下の非漢人社会(新疆、モンゴル、西南中
国)において、“文書に残す”という行為がどのような言語により、いかなる書式
で書かれたか、さらに清朝末期から民国時代に入り漢人勢力の拡大とともに、どの
ように変遷したか、という問題を討論いたします。チャガタイ語契約文書、某氏旧
蔵熱河省蒙地契約関係文書の展示解説もあり、総括討論では中国史専門家からのコ
メントもいただきます。(中見立夫)
日時:2008年3月8日、午後1時〜6時
場所:アジア・アフリカ言語文化研究所3階大会議室
(http://www.aa.tufs.ac.jp/location_j.html)
A.新疆
堀 直(甲南大学)
「清代のチャガタイ語文書—回疆を中心として—」
菅原 純(AA研産学間連携研究員)
「イスラーム法から中国法へ—省制期新疆の地契書式にみる「契約」の問題—」
*新免康(中央大学):上記2報告へのコメント
B.モンゴル
萩原 守(神戸大学)
「清代モンゴルの満蒙文文書—公文書と私文書の間—」
広川佐保(新潟大学)
「民国から満洲国時期に至る蒙地関係文書の変遷とその意味について」
*ブレンサイン(滋賀県立大学):上記2報告へのコメント
C.西南中国
武内房司(学習院大学)
「18〜19世紀貴州苗族民間文書とその周辺(仮題)」
◎総括討論
岸本美緒(お茶の水女子大学):中国史研究者からのコメント
*準備の都合上、御出席される方は、中見立夫(tnakami@aa.tufs.ac.jp)へ必ず
返信ください。なお研究会終了後、報告者との夕食会を予定しております。こち
らへも御参加いただける方は、あわせてお知らせください。