野村浩一著『近代中国の政治文化──民権・立憲・皇権』
岩波書店,2007年10月30日刊,333頁,3700円+税,ISBN978-4-00-022562-5
『思想』連載の「辛亥革命の政治文化」及び「近代中国における『自由主義』の位相と運命」等をもとに,補訂をほどこして組まれた論集。
まえがき
第一章 辛亥革命の政治文化──民権・立憲・皇権
第二章 民国期・思想的諸潮流についての一考察──「五四啓蒙」,孫文・三民主義,毛沢東・マルクス主義
第三章 近代中国における「自由主義」の位相と運命──三〇年代・『独立評論』へと至る胡適を中心に
むすび──終章にかえて
近年,大陸で魯学(魯迅研究)を凌駕する勢いなのが胡学(胡適研究)である。日本ではそれほどの顕学とはなっていないが,第三章は質・量ともに,近年の学術成果を取り入れた専論として,読みごたえがある。われわれの中国リベラリズム研究会もこれを一つの足場に,展開著しい胡学との対話を進めなければならないだろう。(村田雄二郎)