黄東蘭『近代中国の地方自治と明治日本』
汲古書院,2005年2月1日刊,402頁,11,550円。
近代中国の地方自治論を,明治日本の地方自治との関連で考察する。中国伝統の地方自治論や地方行政改革論(顧炎武ら)を踏まえつつ,清末に受容された地方自治論や日本の地方自治への認識が詳細にたどられる。さらに,清末天津や民国山西での地方自治の実態を解明して,外来制度の受容過程における「変容」の問題にも論及する。国民国家の枠組みをひとまずおき,下からの社会秩序の構築が,個人や地域社会の場でいかに構想され実践されたのか,また中国政治における中央・地方関係はどのように認識されてきたのか,こうした問題を歴史的に展望する上で示唆するところの多い労作。(村田雄二郎)