「移動とネットワークから 地域文化研究を考える」
「地域文化研究」というと、特定の「地域」に「文化」があって、それを研究するというイメージが湧きます。かつては、「地域」が国を指し、「文化」が国民文化を意味していた時代があり、優れた研究を生んできました。ですが今日では、一方で国民国家論が語られ、他方でグローバル化が注目を集めています。
自分の「地域」を設定して文化を見出す際に、国を単位に考えなくてもよい時代になったのであり、国を自分の研究する地域とする場合でも、「国境」の意味について柔軟な姿勢で臨む必要があるでしょう。
このシンポジウムでは、どのような集団が、どの空間に、いかなる形で有機的な文化を広げていくのか、空間的移動とネットワークを通じて編成されるさまざまな集団や思想・概念をとりあげて検討します。21世紀の地域文化研究はどのように進めていけるか、議論する機会にしたいと考えています。