このたび,広州市社会科学院研究員呉重慶先生にお願いしてご報告いただくことになりました。呉先生は華南農村社会の調査・研究を長年にわたって進めており,また中国の代表的評論誌『開放時代』編集長をつとめておられる知識人です。日本語に訳された論文に,呉重慶「孫村 ある共時的コミュニティー──「ポスト革命時代」の人と鬼と神」(宮田義矢訳,『思想』1026号,2009年10月)があります。今回はこの論文で展開されたモチーフを継ぐ最新の研究成果を報告いただきます。みなさまの来場をお待ちします。
日 時:2011年3月9日(水)16:00-18:00
場 所:東京大学駒場キャンパス18号館4階会議室(コラボレーションルーム4)
報告者:呉重慶(広州市社会科学院研究員,『開放時代』執行編集)
題 目:時の流れに座礁した郷土と人──華南の古村落から中国の郷土社会の変遷を見る(搁浅于时光长河的乡土与人──从华南古村落看中国的乡土社会变迁)
梗 概:中国南方の最大都市広州の周辺には,いまなお多くの古村落が残っている。古村落の形成には中国の宗族社会の特徴が反映されているが,今日の古村落はそれぞれ違ったかたちで衰亡の形態を呈しており,その過程から中国の郷土社会の変遷のミクロなメカニズムを見て取ることができる。
言 語:中国語(日本語通訳有り)
連絡先:村田雄二郎(murata@ask.c.u-tokyo.ac.jp)
呉重慶:一九六四年福建省莆田の産。中山大学で博士学位(哲学)を取得した後,広州市社会科学院研究員となる。中山大学華南農村研究センター副主任や『開放雑誌』『珠江経済』編集長を兼任。中国思想史の本業では『儒道互補』(一九九三年)など多数の著書・論文があり,また華南農村社会の田野調査(フィールドワーク)を続け,近年の中国農村社会の変化に関して多くの著述を公表している。