2009年度教養学部後期課程「アジア地域形成史Ⅰ」授業計画(村田雄二郎)
学期:夏学期
単位:2
曜限:火曜日・4限
教室:未定(駒場キャンパス)
科目名:ユーラシア地域国家としての中国
東アジア,東北アジア,東海・南海,東ユーラシアなど,歴史上の地域大国として中国を定位する試みが,近年盛んになっている。本講義では,日本で主流の東アジア世界論,あるいは漢字文化圏論を相対化する既存の研究成果を紹介しつつ,さらに複合国家としての清朝〜現代中国を広域秩序さらにはグローバルな世界秩序の中に位置づける可能性を探る。講義内容は以下の通り。(カッコ内は主に扱う文献を示す。なお内容は,昨年度夏学期に開講した「歴史から見る中国ナショナリズム」となかば重なる。)
1,ユーラシア国家としての中国(P. Perdue,
China Marches West: The Qing Conquest of Central Eurasia)
2,海洋アジアの中の中国(上田信『海と帝国──明清時代』)
3,天下的世界観と華夷思想(安部健夫『中国人の天下観念』)
4,册封体制論(西嶋定生『中国古代国家と東アジア世界』)
5,朝貢システム論(浜下武志『近代中国の国際的契機』)
6,互市体制論(夫馬進編『中国東アジア外交交流史の研究』)
7,近代国際秩序と清朝国家(坂野正高『近代中国政治外交史』)
8,封建論から地方自治へ(増淵龍夫『歴史家の同時代的考察について』)
9,国家と社会:郷団自治論(内藤湖南『新支那論』)
10,内なる国境としての“中華”(P.Duara,
Rescuing History from the Nation)
参考文献などは開講時に指示する。
成績評価は授業への貢献度と学期末レポートにて行う。